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精神疾患創薬研究グループ(PI: 出口 雄一)

難治性うつ病における神経回路異常改善のための創薬研究

背景・目的

 現代社会においてうつ病は深刻な社会問題となっている。現在、うつ病患者の治療にはSSRI(serotonin reuptake inhibitor)やSNRI(serotonin & norepinephrine reuptake inhibitor)が用いられているが、その最大薬効発現までに4週間以上の期間を要する。またその治療薬が有効である患者率は全体の50-70%にであり、寛解率については30%に留まっている(Pae CU, Psychiatry Investig 2015)。そのため、うつ病患者の治療においては、即効性や既存薬抵抗性(Treatment-resistant depression, TRD)患者に対する治療効果を示す新規治療法が強く求められている。
 本研究では、抗うつ作用が臨床で確認されている介入方法に着目し、非臨床モデルを用い、その抗うつ作用発現に必要十分な神経回路活動変化の同定を目指す。
 うつに関わる神経回路については、非臨床研究では関与する神経群がいくつか同定されつつある(Knowland D, Cell. 2017など)。臨床面からも、TRD患者の治療として用いられる経頭蓋磁気刺激法(TMS)や深部脳刺激療法(DBS)の標的は一般的に前頭葉であるが、他領域を刺激した際にも治療効果が認められることも近年報告されている。以上のことから、うつ病は複数の神経回路異常によって引き起こされていると考えられるが、関与する神経回路の全貌は未だ明らかになっておらず、治療標的とすべき神経回路も定まっていないため、当グループではその同定を目指す。

研究内容

 臨床で有効性が認められる治療介入方法をうつ病モデルマウスに適用し、各神経回路活動変化を免疫染色・カルシウムイメージング・電気生理などの方法により検出する。その後、同定された特定神経回路活動変化が、その介入方法の治療効果に因果的な役割を果たすかを、光遺伝学(Optogenetics)・薬理遺伝学(DREADD)的な手法により検証し、治療効果発現の中核を担う神経回路の同定を試みる。同じ「うつ病」という疾患の中でも、症状によって介入すべき神経回路は異なると考えられるため、複数の評価系を用いて各症状改善に対応する治療標的神経回路を明らかするアプローチをとる。

プロジェクト終了時の目標

  • 各うつ症状改善に必要な神経回路活動制御方法の同定
  • 各症状改善に適した新規治療薬創製プログラムの開始

メンバー

役職/所属 氏名
PI・プロジェクト研究員 出口 雄一
プロジェクト研究員 大波 壮一郎
プロジェクト研究員 中司 大樹
技術補佐員 安田 直人